東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

研究者と官僚は似ている?

最近のSTAP細胞に関する一連の報道を見ていて、研究者と官僚は似ているな、と思いました。
そんな私の徒然思考を書いてみようと思います。

 

(註)
・以下、「研究者」には学者の意味も含めて使います。
・国家予算を使っているということで、対象を理研独法)から大学に広げます。

 

 

【研究者と官僚の似ている点】

①社会のために働くはずなのに…

(研究者)
大学の目的は、学校教育法第83条に規定されています(※1)。
条文を踏まえると、大学における研究は、日々新たな「知」を生産し、もって社会の発展に寄与することがその役割であると言えます。


小保方氏の問題に限りませんが、iPS細胞移植不正事案の森口氏など、研究者が社会の発展のためにがんばっているとは…
疑問視されてもやむを得ない昨今の状況です。


(官僚)
公務員(=官僚)については、憲法第15条第2項に「すべての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されています。(※2)
しかし、古賀氏などにより、官僚が自分たちの組織のために働いていることが指摘されています(※3)。

 

②仕事の「独占」の崩壊

研究者も官僚も「自分(たち)」のために働いているとはいえ、彼らにしかできない仕事をしているから、社会の中で受容されている部分があると思います。
しかしながら、昨今そのような「独占」も崩壊しつつあります。


(研究者)
今回のSTAP細胞問題が露見したきっかけが、ネット上での議論だったという指摘も(やはりネット上ですが)あるように、集合知を代表とする新たな「知の形成の場」ができつつあります(※4)。
このような「知」の在り方ついては、今後どうなるかはわかりませんが、将来的に、大学だけが「知の形成の場」という地位を保持することは難しくなるものと推測されます。

加えて、これまでは、大学などの由緒正しき研究機関における成果は、学会などの権威による裏付けがなされ、信頼が高いもの「でした」。
少なくとも、その信頼すら最近は失われつつある気がします。


(官僚)
これまで行政は、利益性が低いために民間企業が担わない分野を担ってきました。
しかしならが、昨今、NPOなどの新たな担い手が登場し一般的になってきました。

 

③責任を追求されない体質

(研究者)
今回のSTAP細胞問題は、その真偽はともかく、小保方氏の論文上のミスは意図的であろうとなかろうと間違いなくあります。
しかし、これだけの問題を巻き起こしながらも、彼女が法的に訴えられることはないし、責任をとるという考えもないようです。
新米の医師ですらミスをすれば故意でなくとも、訴訟に発展するなど、責任を追及されることがあります。
「研究者の責任」とは何なのでしょうか?


(官僚)
官僚が業務上の責任をとって辞めたという話は聞いたことがないどころか、公務員は、非常に安定した職業とみなされています。
実際、結果責任を問われない仕組みがうまくつくられていると、古賀氏が指摘しています(※3)。

 

④組織の体質

これについては、私は研究者でも官僚でもないので、想像の部分もありますが…


(研究者)
研究室は縦社会で、ボスである教授に気に入られるかどうかで、テニュアポストを得られるかどうかが決まってくる、という話を何度か聞いたことがあります。
真実かどうかはわかりませんが、学問界といえども、年功序列(=先輩優先)かつ非能力主義らしいです。


(官僚)
官僚組織が年功序列であることは有名な話です。
また、古賀氏も「次官に嫌われたら出世の道が閉ざされる」と指摘しているとおり(※3)、上司に気に入られるか否かが非常に重要なようです。

 


こうやって考えてみると、研究者と官僚って似ていませんか?

 


先日、高学歴であることが批判や否定の対象にばかりなっていることを嘆きました(※5)が…
「高学歴」の代表的職業である研究者や学者、官僚がこのような状況だと…やっぱり、仕方がないのでしょうか。。

 

 

 

 

※1学校教育法

※2憲法条文・重要文書 | 日本国憲法の誕生

※3「官僚の責任」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
  「官僚を国民のために働かせる法」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※4「集合知とは何か」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※5受験競争、学歴(社会)の否定のその先にあるもの…? - 東京大学を卒業しましたが、