女子が東大を目指さないことの考察とポジティブアクションについて
先日、「女の子が東大に入ると損？いいえ、日本一幸せになれます」（※１、２）という記事を見て以来、ずっと気になっていることがあります。
なぜ女子高生は東京大学を目指さない（選ばない）のか。
その理由を私なりに考えてみました。
ちなみに、東京大学の情報公開によると、そもそも志願者数の時点で男女比が毎年約５：１になります（※３）。
【数学が受験科目にある！！】
女子高生が東大を目指さない理由として、最初に思い浮かぶのが「入試科目に数学がある」ことです。
東京大学文科Ⅰ～Ⅲ類は、センター試験では数ⅠAが必須、ⅡBは選ばざるを得ない設定になっています。
また、個別学力試験では、数Ⅰ・A・Ⅱ・Bが必須です。
私がざっと調べたところ、文系学科でセンター試験の数ⅠAを必須にしている大学はいくつかありますが、個別学力試験で数学を必須にしているのは、東大の他は京大くらいでした。
（私立文系の場合、数学は選択の場合がほとんど）
つまり、東大を受けるためには、文系であっても、東大受験でしか使わない可能性の高い数学の勉強をしなくてはいけなくなります。
加えて、嘘か本当かはわかりませんが、でも、実感として納得できることに「女子は数学が苦手」という話があります。
－東大受けるには数学が必要らしいよ。
－えー、無理。じゃあ、受けなくていいや。
こんな会話が聞こえる気がします。
【結婚・就職でメリットがあるとは限らない】
受験において他大学を受けるよりも膨大な投資をして東大に入ったとしても、結婚・就職という人生の二大イベントにおいて、相応のメリットがあるとは限りません。
結婚については、東大という学歴故に敬遠されたり、逆に自ら出会いの機会を狭めてしまうこともあります。
恋人に自分と同じレベルの学歴を求める東大卒女子は多いと思います。
また、東大卒女性には「自己主張が強い」などのマイナスイメージが付与されることが多いのも事実です（※４）。
一方、就職においては、上野先生も指摘していますが、東大女子には一般職を選ぶ権利はないようです（※５）。
経済事情の厳しい昨今、共働きが一般的になりつつある中、総合職としてしか働く道がないという事態は喜ばしいことではありません。
加えて、弁護士や公認会計士なども、必ずしも東大が合格者数・合格率１位というわけではありません（※６）。
東大が合格者数１位なのは、「帰れない」でおなじみの国家公務員くらいでしょうか…（※７）
親がこのような現実を把握していれば、東大受験を勧めない可能性が高いと思います。
そして、生徒自身、よほどの勉強好き以外、合理的な選択をすれば、東大は選ばないという結論になるのだと思います。
自分で考えたことではありますが、納得です。
【東大入試にポジティブアクションを導入したら…？】
少し話は変わりますが、上述のような状況で、仮に東大が入試においてポジティブアクションを実施したらどうなるのでしょう？
望ましい結果になるとは思えません。
そんな想像をしていたら、高校生のころ、数学の先生に「女の子なんだしあまり数学、数学って思わなくて大丈夫よ」と言われた話を、嬉々として理系の友人（当然女子です）にしたところ「そういうのありえない」と一蹴されたことを思い出しました。
また、女性の管理職が少ないと言われていますが、それでも管理職として活躍されている方はいらっしゃいます。
最近の「女性の活躍促進」を受けて、「私にもチャンスがあるかも」と思って管理職を目指す女性の姿勢（※８）を、私はフェアだと思えません。
私の現実認識が甘いのかもしれませんが、女性が活躍できない原因の一部には少なからず女性自身の甘えがある気がします。
それなのに、どうして、社会はポジティブアクションを実施しなくてはいけないのでしょうか。
女性の社会進出を牽引してきてくださった方々は、ポジティブアクションを望んでいらっしゃるのでしょうか。
東京大学が合格者数に占める女子学生の割合の目標を設定したら、どう思いますか？
ポジティブアクションについては、今一度きちんと考えてみる必要があると思います。
※１女の子が東大に入ると損？ いいえ、日本一幸せになれます。：PRESIDENT Online - プレジデント
※２ポジティブアクションって必要？－最近の女性の活躍促進について思うこと。 - 東京大学を卒業しましたが、
※４東大女子は高飛車！？それは違います。 - 東京大学を卒業しましたが、
※５上野千鶴子先生、東大女子は幸せですか？ | ワーキングマザーサバイバル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
※６例えば 平成26年司法試験合格者数 慶應＞東大
法務省：平成２６年司法試験の結果について（←法科大学院等別合格者数等）
