東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「最貧困女子」を読みました。

【評価】
良い。

 

【関心】
普段読む新書については、ほとんどの場合、世間の流行とは関係なく自分の興味の赴くままに選んでいます。

しかしながら。

たまには「流行っている(流行った)」本を読んでみたいと思い、
何となく読書メーターを見ていたところ、本書のタイトルに目が留まりました。
読書メーターでの登録数も多く、「売れたらしい」という話も耳にしたので読んでみることにしました。

 

【感想】
「こんなに酷い世界があるんだ!!」というような驚きはありませんでしたが、筆者の取材者ではあるけれども「普通の人」という立場から淡々と描かれた最貧困女子の現実には、「このままでいいのかな?」と心に迫ってくるものがありました。

荻上氏の「僕らはいつまで『ダメ出し』社会を続けるのか」(※1)を読んだ時とは違い、誰に何を促されることもなく、気づけば「このような人たちに対して自分ができることって何かあるのかな?」と考えていました。
やはり、「現実(事実)」が持つPowerはすごいと思います。
(もちろん、本書に書かれている「現実」には著者の多少の主観が入っているのだとは思いますが)



本書において一番印象に残ったのは、「地方週一デリヘル嬢」が「最貧困女子」を批判していたことについてです。

「単にズボラなだけじゃなく?だいたい昼のバイトがファストフードなら、接客はやれるんですよね。普通に夜のバイト掛け持ちすればいいんじゃね?」


最貧困女子に対する上述のような批判は、一理あると思います。
だからといって、「そうだそうだ!」と言ってしまっては何も良くならない(変わらない)現実もあるのだと思います。



以前、「自由とは何か」(※2)を読んだ際、福祉主義についていろいろと思うところがありましたが、私たちはどこまで・どのような福祉政策を実施していくべきなのでしょうか。

昨今の政治や「社会」、身近な「社会」を見ていると、誰も何も(ほとんど?)考えていないような気がします。
私自身も福祉について「考えています」とはとても言えません。


本書を読むことで、その事実に改めて気づかせてもらいました。
福祉政策の在り方については、自分なりにきちんと考えたいと思います。


私の日常生活ではほとんど出会うことのない「最貧困女子」の存在・現状を知るということに限らず、もっと大きなところで学ぶこと・考えることの多い本だったと思います。

 

 

※1「僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※2「自由とは何か」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

 

最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)