東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「ビッグデータと人工知能」を読みました。-新しい技術に対するバランス感覚。

【評価】
いまいち。

 


【関心】
漠然と抱いたAIへの関心から、AIに関する本を2冊(※1、2)読みましたが、「もう一冊くらいは読んでおきたい」と思っていました。

あるテーマに関心を持ったとき、何冊の本を読んだら「これで十分」と判断をしていいのか、よくわかりません。


私がAIに関する書籍を読むようになったのは、当該テーマの専門家になりたかったりそれっぽく語れるようになりたいと思ったからではなく、世の中の言説をそのまま鵜呑みにするのではなく自分なりに考えて受け止められるようになりたと思ったからです。
しかし、AIに限った話ではありませんが、自分の頭で考えることができるほど、あるテーマについて理解をすることはとても難しいことだと思います。

そのようなことを徒然と考えつつも、「とりあえずもう一冊は本を読もう」と、AIに関する本を検索してみたところ本書が目に留まりました。
タイトルも私が知りたい内容に沿っていそうで、加えて、以前、西垣氏の『集合知とは何か』(※3)を読んだとき、内容については理解しきれないながらも著者に対し「何かすごい」という印象をもった記憶があったため、読んでみることにしました。

 


【感想】
正直、あまりよくわからず、結果として「おもしろい」とは思えませんでした。

<本書を「難しい」と感じた理由>

本書に対して「よくわからない」と感じた理由は2つあると思っています。

1つ目は、私の知識不足です。
本書において、ビッグデータ解析の説明はとても詳しくされていると思います。
しかしながら、AIについては、ディープラーニングをはじめ、技術的な話はあまりされていないように感じました。

本書に対する私の理解は上述のとおりなのですが…
「AIがディープラーニングなどに用いる大量のデータの分析がビッグデータ解析??」という感じで、本書を読みながら、ビッグデータ解析とAIの関係がいまいち掴めていないことに気づかされました。

と、書いてはみたものの…
このような私の認識自体間が違っている可能性もあり…
結局、私はAIに関する的確な理解ができていない、ということがわかりました。

やはり、当たり前と言えば当たり前ですが、本を3冊読んだくらいでは「何かをある程度理解した」ことにはならないようです。

 

また、本書には倫理的・哲学的な観点から、AIについての説明が書かれています。
集合知とは何か』(※3)でも同じ壁にぶつかりましたが、今回も西垣氏の倫理的・哲学的な話がどうも理解できませんでした…

高校生のころ、倫理も世界史もそれなりに勉強をしたつもりなのですが…
もう一度、高校の教科書を読みなおした方がいいのでしょうか…

でも、高校の教科書を読み返したところで解決される気がせず…
困っています。


2つ目は、本書の構造に原因があったように感じています。
知識不足な私の勘違いかもしれませんが、様々な観点からの話が複数の章に繰り返し出てきている印象があり、このことが私の「わからない」状態に更なる混乱を加えたように思います。


本書を読んでいると、上述のとおり、悲しくなるくらい「世界は自分には分からないことだらけ」であることを実感させられて、いろいろな意味で苦しかったです。

 

 

<新しい技術にはバランスのとれた見方が必要>

 本書は読んでもわからないことだらけでしたが、それでも「読んで良かった」と思ったことがあります。

これまで読んだ2冊の本は、グローバル企業や日本の産業構造などへの危機感は指摘しつつも、AIに対しては概ね前向きで「技術への期待」が感じられる内容でした。
しかし、AIについては、まだ様々な意見があり賛否両論の段階にあると私は理解をしています。

本書は、AIに対して、とても後ろ向きな内容です。
個人的には「何でそこまで?」と言いたくなるくらい、後ろ向きだったと感じています。

しかしながら、これまで読んだ2冊の本から、私自身、AIに対して夢や期待を抱いていたことは間違いはないので、本書によっていい意味でブレーキがかけられたと感じています。

新しい技術に対する「バランスの取れた理解」という観点から、本書を読んだ意味はあったと思います。
いつものことですが、上から目線で申し訳ありません。


本書は、AIに対する見方の多様性を持たせてくれる、でも、内容的には難しい本だと思いました。

 

 

※1「人工知能は人間を超えるか」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※2「AIの衝撃」を読みました。-AIに関する世界的競争と日本と情報のコントロール。 - 東京大学を卒業しましたが、

※3「集合知とは何か」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、