「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」を読みました。-仕事と報酬とアルバイト。
【評価】
いまいち。かな?
【関心】
少し前から「働くこと」が私のちょっとしたテーマです。
もう少し具体的に言うと、自分の低い労働意欲をもう少し上げたいというところでしょうか…
「働くこと」という観点から、何となくネットを検索していたところ、本書のタイトルが目につきました。
ディズニーはランドもシーも大好きで何度も行かせていただいています。
そして、ディズニーのキャストさんはそのほとんどがアルバイトだということも以前から知っていました。
そうすると、「9割がバイトでも」という本書のタイトルが、「それでいいの?」という突っ込みも含めて気になってしまいました。
そこで、とりあえず、読んでみることにしました。
【感想】
特に深く考えることなくさらさら読める、「よくある自己啓発本」という感じの本でした。
『モチベーション3.0』(※1)のように研究成果やデータが示されることはなく、ディズニーで実践されているという教育内容と著者の経験が語られているだけで、説得力は乏しいと思います。
ただ、『モチベーション3.0』(※1)を読んだ後に本書を読むと、ディズニーの教育は『モチベーション3.0』(※1)で指摘されていた「自立性、マスタリー、目的」を満たした「よくできた教育」になっていることに気づかされます。
これまでディズニーには何度も行きましたが、キャストさんの対応で嫌な思いはしたことがなく、むしろ小ネタを披露してもらったり素敵な写真を撮ってもらったりと「ありがとう!」と思ってばかりなことを考えると、
『モチベーション3.0』(※1)に書かれた内容を忠実に実践すれば、社員教育としては相当効果的なプログラムをつくることができるのだと思いました。
本書を読むことで、『モチベーション3.0』(※1)の内容の適切さがよくわかりました。
でも、本書を読んだのは、『モチベーション3.0』(※1)の効力を調べるためではなかったので何とも言えないところではありますが…
ただ、その一方で、ディズニーのキャストさんがきちんとしていればいるほど、「それでいいの?」という疑問を抱いてしまいます。
『モチベーション3.0』(※1)では、「適切な報酬」を前提としてモチベーションを高める方法について述べられていましたが、
ディズニーのキャストさんは「適切な報酬」をもらっているのでしょうか。
あれほどきちんと仕事ができるのに、ましてや後輩アルバイトの教育までしているのに、「アルバイトとしての収入」しか得られないことは「適切」なのでしょうか。
もちろん、私が知らないだけで(あまり知りたくもないですが)、ディズニーのキャストさんは相応のお給料をいただいているのかもしれませんし、社員への登用制度など一般の「非正規雇用者」とは違い厚遇にあるのかもしれません。
また、実際にいるのかはわかりませんが、たとえば、「ディズニーのキャストというアルバイトを続けて40代になりました!」という人の実情などが、どうしても気になってきてしまいます。
―経営や雇用の話に、上記のような疑問は適当でないのかもしれません…
きっと、USJもスタッフさんもその大半は非正規雇用者なのでしょうし…
ディズニーのキャストさんを全員正社員にすることは難しいということも理解していますが…
随分前にディズニーの話をしたとき、友人が「それってやりがいを用いた搾取だよね」と言っていたことを改めて思い出さざるを得ませんでした。
何度も言いますが、私自身はディズニーは大好きでいつも楽しませていただいています。
でも、それだけに、どうしても目をつぶりきれない疑問が湧いてきてしまいました。
もちろん、ディズニーのアルバイトや社員の制度など裏方事情を知らない私の杞憂の可能性は過分にあるので、そうであることをひたすら祈っていますが…
実際のところはどうなのでしょう?
とは思うものの、やはり、ディズニーの裏側は知りたくないです。
ひたすら、勝手な妄想に基づく雑感を書いてしまい、お読みいただいた方にはお詫び申し上げます。
ただ最後に。
本書がアルバイトを安く効率よく使いたい「社会的通念から見て不適切な企業」のバイブルにならないことを切に願います。
そして、本書は自己啓発本としてはいまいちでした。
※1 「モチベーション3.0」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
(3冊合本版)9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 (中経出版)
- 作者: 福島文二郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2014/09/24
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