東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「知性の限界」を読みました。

【評価】
おもしろい。

 

【関心】
以前読んでおもしろかった『理性の限界』(※1)が3部作であることを小耳にはさみました。
『理性の限界』(※1)以外の作品もぜひ読んでみたいと思い、早速手に取ってみました。

 

【感想】
『理性の限界』(※1)に続いて、とてもおもしろかったです。


1つのテーマに対して、特定の立場をとる者の主張と、それに対する別の立場・一般の立場からの疑問や反論が、かゆいところに手が届く感じですごく良かったです!

人物ごとにその思想をまとめた本は多いけれど、本書のようにあるテーマに対して様々な考え方が提示されたり、ある考え方の良い点/悪い点が同時に示される形式の本はあまりないかと思います。
1つのテーマに対して、幅広い考え方を包括的かつ一度に学べるので、本書の形式は非常に気に入っています。
このような構成を考えた高橋氏には脱帽です。


本書で説明されている内容は、どれもおもしろかったのですが、ソーカル事件をはじめ、ガタリボードリヤールなど「著名だし権威がある」と思っていた人たちの論文が数学や物理学の用語をきちんと理解しないまま書かれていたことには心底驚きました…
学問のいい加減さ・適当さ、しかし、そこに権威が伴うというおかしさ…
学問界の矛盾を見た気がしました。

科学の世界においては研究不正などが相応にあるのだろうとは思っていますが、それでも世界的に承認されている人たちは「承認されている」からこそ「きちんとした論文を書いている」と思っていたので…
「所詮、受験勉強しかしていなかったから」と言われればそれまでなのですが、学問はもっと誠実で高尚なものだと思っていただけに心底がっかりしました。


本書は、設定されたテーマに対して、適度な深さかつ多様な知識をわかりやすく説明してくれ、そして何より、読んでいて楽しくなってくる素敵な本だと思います。

 

 

※1「理性の限界」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)