「ポスト戦後社会」を読みました。
【評価】
良い。
【関心】
ここしばらく、イスラム国関係の本(※1、2)や『最貧困女子』(※3)、『金融大崩壊』(※4)など比較的「最近」の出来事や事実に関する本を読みました。
これらの本を読みながら、「戦後の歴史や政治・経済についてあまり知らないな…」と思うことが多々ありました。。
そこで、戦後社会の歴史をさらっと学びたいと思い本を検索したところ、以前読んだ『大学とは何か』(※5)の著者による本書を読みつけたので、読んでみることにしました。
【感想】
思っていた以上に身近な「歴史」を知らないことを改めて実感しました。
例えば…
聞いたことはあった田中角栄による「列島改造」。
しかし、その具体的な政策内容はほとんど知らず、イメージしかもっていませんでした…
列島改造などのかつての国土計画は、「基本的に地方分散、格差是正のために地方で産業基盤を整備することを重視してきた」そうです。
その文脈で、現在の六ケ所村を含む「むつ小河原開発計画」の時代の流れの中での紆余曲折を読むと…
バブルの記憶さえうっすらとしかない私にとっては、行政による開発・箱モノ建設などに対しては「悪い」イメージしかありません。
しかし、70年代の多くの人が持っていた開発・箱モノ建設を含む政治・行政についての考え方は、今の考え方とは全く違っていたのだということが感覚的につかめた気がします。
他にも、60年代の一般市民による政治活動が盛んな時代の話や環境政策に関する話etc
同じ日本人なのに、たった40~50年違うだけで、こんなにも今の私たちと「『感覚』あるいは『常識』が違うのか!」と正直驚きました。
私がこのように感じたのも、著者の「70年代半ば以降、過去からの連続性としての歴史がどう壊れてきたのかを、本書は多面的に考えてみようとした」という試みによるものなのでしょうか。
上記のとおり、本書はいわゆる「通史」ではありませんが、非常におもしろい構成になっていると思います。
なお。
上記「列島改造」や「むつ小川原開発計画」、政治運動や環境政策に関する話に限らず、「へー、そういうものだったんだ!」と思うことが多々あったり、「歴史教育について一言言いたい!」と思ったことがあったのですが、語ると長くなりそうなので、別の機会にまとめたいと思います。
本書は、「少し前」の過去と「今」の違い、そして「今」との関連などもわかりつつ、「少し昔の『遠さ』」を感覚的に理解することができる良書だと思います。
※1「イスラーム国の衝撃」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※2「イスラム国の野望」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※3「最貧困女子」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※4「金融大崩壊」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※5「大学とは何か」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、