東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「イスラーム国の衝撃」を読みました。

【評価】
良い。

 

【関心】
昨今、「イスラーム国」(以下、「IS」とします)が世界で様々な事件を引き起こしています。
しかしながら、恥ずかしい限りですが、これほどまでに大きな話題となっているISについては、昨年、「気づいたら『IS』と呼ばれる組織があった」という程度の認識しかなく、ISが「何者」なのか全く知りません。

「こんなにも『世界』について知らないのはマズい!」と思い、「イスラム教について学ぼう」などと外枠を埋めるのではなく、昨今の問題のど真ん中、ISについて知るため、本を検索したところ、本書が出てきたので読んでみることにしました。


【感想】
「私って、何も知らずに平和な世界を生きていたんだな…」


本書を読みながら何度も思った感想です。


恥ずかしながら自分の無知をさらしてみると、いわゆる「紛争」はボスニア・ヘルツェゴビナで終わったと思っていました。
2001年の9.11以降、アメリカがアフガニスタンイラクに侵攻したことは知っています。
しかし、それらは一時的なもので、米軍が撤退したら、ベルサイユ条約によって第一次世界大戦が終わったように「全て」が終わったものと思っていました。

私が思っていたのとは全く異なる世界の現実に驚くとともに、ひたすら反省です。


本書には、ISが台頭してきた背景や経緯が、非常にわかりやすく書かれています。
上述の「気づいたらISと呼ばれる組織がいた」という感覚は、本当に「無知ゆえ」なのだということがよくわかりました。

加えて、本書には、IS以外の組織も含め、イスラム過激派組織と呼ばれるものがなぜ、どのような経緯で台頭・発展してきたのかといった歴史的な説明や信仰面からの説明、国際情勢やイスラム過激派組織同士の関係などが必要かつ十分に書かれていると思います。
私のようなIS(及び中東情勢)について全く知らない人向けの入門書として最適な本だと思います。


ただ、一つだけ贅沢を言うとすれば。
本書で書かれている信仰面からのジハードに関する説明は、あくまでイスラム教徒以外の「第三者」の視点からのものです。
信仰者が何にどのように心を惹かれジハードに身を投じるのか、といった信仰者の立場からの説明が書かれていれば尚よかったと思います。


本書を通じて、世界についてもっと関心を持っていかねばと切実に思わされました。

 

 

 

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

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