東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「世間とは何か」を読みました。

【評価】
いまいち。

 

【関心】
読書メーターで相性の良い読書家さんを見ていたところ、本書に目が留まりました。

仕事が嫌いとか日本企業的な文化に馴染めないなど、私は「世間(=まわり)に合わせる」とか「周囲に気を遣って生きる」といったことがあまり好きではありません。
そして、実際、あまりできていないのだと思います。
そんな私にとっては「世間」も「ズットモ」(※1)も「村社会」もできる限り避けたい「モノ」です。

それ故に生きることが苦しいということはありませんが、それでも、本書を読むことで「うまく社会を生き抜くこと」につながる何かが得られたらいいな、と思い、読んでみることにしました。

 

【感想】
本書を通じての結論、あるいは著者の主張がイマイチよくわかりませんでした。
また、「世間とは何か」というタイトルの問いに対する答えも見つかりませんでした。。
しかし、「世間」とはそのようなものなのかもしれません。


本書では、古代の和歌から吉田兼好井原西鶴夏目漱石など、各時代の文献に出てくる「世間」という言葉の具体的な意味・使われ方から、「世間」に関する分析がなされています。

時代によって「世間」という言葉の意味・使われ方が違っていたり、昔からある「思いのままにならない世の中」を嘆く人々の「思いのまま」には二つの意味があるetcの話から、「世間」の外郭については、何となくイメージが湧いたというかぼんやりとわかったような気にはなれましたが、上述のとおり「世間」の核心については結局よくわかりませんでした。
それでも、「世間による束縛感」は昔から人々が感じていてようで、かつ、それを嘆いていたことがわかり、どこかホッとしてしまいました。


また、本書では文献を分析するに当たり、当時の人々の感覚(視点)から分析を行っているので、昔の人と今の人の感覚の違いについて知ることができました。
「世間」に関する分析よりも、上述のような歴史的な話(=昔の日本人についてのエトセトラ的な話)の方がおもしろかったです。


本書は、「世間」に関する分析(or研究)論という観点からは不足感が否めませんでしたが、歴史・文学の徒然文という観点からみると「こういう本もありかな」と思える本でした。
上から目線の発言を失礼いたしました。

 

 

※1「融解するオタク・サブカル・ヤンキー ファスト風土適応論」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

「世間」とは何か (講談社現代新書)

「世間」とは何か (講談社現代新書)