「日本人はいつから働きすぎになったのか」を読みました。
【評価】
いまいち。
【関心】
何度かこのブログで書いていますが、私は働くことがあまり好きではありません。
そのため、逆に「どうしてみんなそんなに長時間労働に耐えられるのだろう」という疑問を持っていたりもします。
上記問いに対しては、自分の経験も含め、「仕方がないから」と答える方が多いのだろうとは思いますが、それでも別の選択(=転職)をせずに働き続けている人たちはすごいと思うと同時に不思議でもあります。
別の選択肢を取らないのも「仕方がないから」なのかもしれませんが…
そんな疑問に答えを与えてくれそうなタイトルの本書を見つけたので、読んでみることにしました。
【感想】
本書は、これまで読んだことのない書き方の新書でした。
そして、個人的にはあまり合わないようで、非常に読みにくくおもしろくなかったです。
本書では、主として江戸時代から明治時代にかけての文献資料に対する著者の分析が詳細に書かれています。
そして、「ここから言えるのはこういうこと」という仮説が提示されています。
文献から何がどこまで言えるのか、という点について非常に慎重な議論がなされていて、悪くはないと思いましたが、学生のレポートを読んでいるような気分になりました。
また、全部で15の仮説が提示されているのですが、それぞれの仮説の真偽が明らかにされることはなく、また、提示した仮説を総合すると何が言えるのかといった考察的なものもほとんどなく…
ひたすら仮説ばかり提示されてもな…、という感じでした。
歴史学(?)という分野の特性だったりするのでしょうか…?
上述のような構成のため、本書を読み終わった後、「結局、結論は何だったのだろう?」という感じは否めませんでした。
しかしながら、「日本人は勤勉である」という通説がある一方で、歴史の中には「勤勉でなかった人たち」が確実にいたことだけはわかりました。
普段、何となく「みんな真面目だよな…」と思っていますが、改めてこれまで出会った人たちを思い返してみると、東大生時代を含め、勤勉さなど微塵も感じられない人もそれなりにいました。
考えてみれば当然ですが、全ての人が真面目であることなど、あり得るはずはありません。
このように考えてみると、「仕方がないから」と言って長時間労働に耐え忍んでいる人も、実は一部の人たちだけなのかもしれません。
周りが「『勤勉に』長時間労働をしている環境」では、「みんながそうだから」と思ってしまいがちですが、少し視野を広げれば全く違う世界がすぐ隣にあったりするのかもしれません。
場合によっては、同じ環境下でさえ、よくよく見れば違う生き方をしている人たちがいるのかもしれません。
本書を読みながら、思い込みの怖さというか、偏見・先入観の怖さというか、同調圧力の怖さというか…
そのようなことを考えさせられました。