東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「サバイバル宗教論」を読みました。

【評価】
普通。

 

【関心】
これまで、佐藤氏の著書を数冊読みましたが(※1、2)どの著書も非常におもしろかったです。
そこで、最近書かれた著書を読んでみたいと思い、検索をしたところ出てきた本書のタイトルに「どのような話が書かれているのだろう」と興味を持ち、読んでみることにしました。

 

【感想】
「宗教論」というよりは、「外交官という視点に宗教に関する視点を付加して世界や社会を見るとこういうことが言えます/考えられます」といった世界・社会論的な内容でした。
寺島実郎氏の「世界を知る力」(※3)と似ているように感じました。

また、佐藤氏の著書にはめずらしく、著書全体を通しての筋が通っていないというか、中心となる柱がないように感じました。
私がこのように感じたのは、本書がお坊さんを対象とした講演録だったからでしょうか。
あるいは、私が宗教家でないため、お坊さんたちにはわかる「何か」が理解できていないということなのでしょうか。


上述のような若干の不足感はありましたが、それでも博学な佐藤氏の著書だけあって、雑学的な要素も含めて非常におもしろかったです。

先日、「世界の宗教がざっくりわかる」(※4)で世界の主要宗教についてざっくり学んだつもりになっていましたが、本書を読むとまだまだ理解が浅いと感じずにはいられませんでした。
加えて、「金融恐慌とユダヤキリスト教」(※5)を読んだときに、宗教的な視点から世界を見るという考え方に触れることができましたが、本書では違う意味で「宗教という視点から世界を見る」経験ができたと思います。

 

神学や宗教学は何をやっているのか一般にあまり理解されていない学問だと思います。
しかしながら、本書を読む限り現代社会においては不可欠な分野のように感じられます。

一方で、佐藤氏のようにその専門知識を現実世界の理解に活かしている神学者宗教学者の方をあまり見かけません。
(私が知らないだけでしょうか)

昨今、宗教が関わる世界的な事件発生していることなどを鑑みるに、佐藤氏のように研究成果を一般国民にもわかるかたちでフィードバックしてくれるような神学者宗教学者の方が増てほしいと思いました。
大学には相応の税金がつぎ込まれていることですし。

本書は、世の中を見る視点を養うという意味で良い本だと思います。

 

 

※1「ぼくらの頭脳の鍛え方」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※2「インテリジェンス 武器なき戦争」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※3「世界を知る力」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※4「世界の宗教がざっくりわかる」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

※5「金融恐慌とユダヤ・キリスト教」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

サバイバル宗教論 (文春新書)

サバイバル宗教論 (文春新書)