東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「セカイ系とは何か」を読みました。

【評価】
おもしろい。

 

【関心】
セカイ系」という言葉を初めて聞いたのは、おそらく、数年前、アニメやマンガとは全く関係のない文脈で友人が口にしたのを耳にしたときだったと思います。

聞きなれない言葉に「何それ?」と、その友人に聞いてみたのですが、「セカイ系」についての説明は難しいとのことで、「何かこんな感じ」という雰囲気と「セカイ系」と言われているマンガやアニメのタイトルを教えてもらいました。
しかしながら、セカイ系の例として提示されたアニメもマンガも全く知らず、結局、よくわかりませんでした。

この一件以来、「セカイ系って何だろう?」という疑問が8割がた忘れつつも、ずっとどこかにあった気がします。

しかし、「セカイ系」という言葉を知らなくても困ることはありません。
そのため、本書のタイトルを目にするまであえて気にとめることはありませんでした。


このような経緯から本書のタイトルに目が留まり、また「ポスト・エヴァのオタク史」というサブタイトルにも興味を引かれたので、読んでみることにしました。

 

【感想】
本書によると、「セカイ系」という言葉にはそもそも明確な定義はなく、また、その曖昧な定義さえ、2000年代初期から現在に至るまで変化してきているそうです。
セカイ系」という言葉の説明を求めても仕方がなかったことが今さらながらわかりました。
しかし、それでも本書の「セカイ系」をめぐる言説の変遷など、詳しい説明を読んだ結果、「セカイ系」の大まかなイメージは掴むことができたように思います。


本書では、「セカイ系」に関する巷の定義・言説、及び、その代表とされる作品についての分析がなされていました。
本書に出てくる個別の作品については全く知らなかったのですが、それでもそれなりの納得感を持って読み進めることができました。
全く知らない世界の話でしたが、逆におもしろかったです。


加えて、「エヴァンゲリオンが社会現象化した理由‐アニメ鑑賞態度の問題」に関する分析が非常におもしろかったです。

本書では、エヴァンゲリオンの社会現象化について、アニメの世界観を楽しむのかその内容を文学的に楽しむのかというアニメ鑑賞態度の違いという視点から、分析がなされていました。
(理解が間違っていたらごめんなさい)

ちなみに、私自身がエヴァンゲリオンを見たのは思春期を過ぎてからでした。
そのため、思春期真っ只中の主人公の自意識の物語には共感できず、「エヴァンゲリオンの世界(=アニメ内にちりばめられた謎)」を楽しもうとしていたように思います。
私のアニメ鑑賞態度はエヴァ以前のものだったようです。


うーん…


本書では、マンガやアニメなど、いわゆる「文学」には該当しない分野がテーマとなっていますが、その奥深さに驚くとともにとても新鮮な経験をすることができたと思います。