大学教育という「サービス」と大人になれない大学生?
先日、大学受験生のお子さんを持つお母さんとお話をする機会をいただきました。
そして、最近の大学受験をめぐる状況を伺って、私が高3だったころとの違いに心底驚きました。
私の高校3年生の夏といえば…
漠然と「東大を受けるのだろうな」とは思っていたものの、まだ志望校を決めたわけではありませんでした。
2月になったら受けるであろう試験を想像して、何となく問題集を解いたり模試を受けたりしていただけでした。
しかしながら、最近の高校3年生はオープンキャンパスに行くのが比較的「当たり前」だそうです。
しかも、そのオープンキャンパスがすごい!
模擬授業やキャンパスツアーは何となくわかるのですが、学食試食体験(?)や入試相談会までやっている学校があるそうです。
18歳人口が減る中、大学は、消費者である高校生及びその保護者から「選んでもらう側」である以上、サービスの充実が進むのは当然ではありますが、違和感を持ってしまう私はもはや時代遅れなのでしょうか。
若者批判をするのは年寄りの常だとも言いますが。
ここ数年、ニュースや知り合いの話、インターンシップに来た大学生の話を聞いていると、大学生がすごく子どもに思えて仕方がありません。
私自身、大学生の頃の自分は子どもだったと思います。
でも、その程度が違う気がします。
【大人離れできない大学生】
最近の大学生に特に感じるのが「大人離れ」のできていなさです。
最近のオープンキャンパスは親子で来ている生徒が多いそうです。
子どもと一緒にオープンキャンパスに参加している親は、出資者として気になるから参加しているのでしょうか?
私だったら親より友だちと行きたいです。
また、ここ数年、センター試験の日に親と一緒に歩いている受験生を見かけることが増えた気がします。
飛行機に乗って試験会場に行かなければならない場合がある個別大学の試験であれば、親が一緒にいることには頷けますが、少なくともセンター試験では「飛行機に乗って試験会場へ行く」という事態は起こらないはずです。
なので、親子で歩いている受験生らしき人を見ると変な感じがします。
ちなみに、以前ニュースで見たのですが、誰もが名前を知っている有名大学でも「保護者向けの就活セミナー」をやっているそうです。
将来、子どもができても私はそんなセミナーには絶対に行きたくないです。
【サービスに囲まれ過ぎな大学生】
これは半分愚痴のような気もしますが、最近の大学生は驚くほどサービスに囲まれているな、と思います。
オープンキャンパスにおける受験相談の詳細は知りませんが、受験は「貴学に入るのに十分な学力etcがあります」ということを受験生が示す場なのではないのでしょうか。
また、最近は提出期限を過ぎているのにレポートが提出されていないと、事務から催促が来る大学もあるらしいです。
(真偽のほどは確かめていませんが)
私が大学生の頃は、提出期限を過ぎてしまうと、レポートボックスに鍵がかかっていて提出できなかったり、教務課でも受け取ってもらえませんでした。
さすがに甘やかしすぎな気がしてきます。
その他にも、就活支援などサポートは盛りだくさんです。
自分にも反省すべき点があることは重々承知していますが、たまに「他人がやってくれて当然」「教えてくれないから悪い」という態度の後輩にイラッとすることはないでしょうか?
しかし、上述のような現状を踏まえると、ある意味彼らは悪くないのかもしれません。
彼らの態度は、大学サービスによって生み出されたものなのかもしれません。
大学設置基準に「社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を培うための体制」の整備が規定されている(※1)のに、大学は学生が自立しにくくなるサービスばかり提供していることに、多大な矛盾を感じます。
大学も自分の大学の職員になるかもしれない学生を育てているのでしょうに…
以前書いた「手取り足取り指導をする塾」(※2)もそうですが、サービス産業はどこまで子どもを甘やかすようになるのでしょうか。
私だって甘やかしてもらいたいです…
※1大学設置基準 第四十二条の二
※2今の入試制度はダメですか?手厚すぎる塾サービスは嫌いです。 - 東京大学を卒業しましたが、