ここが変だよ、大学院!@東京大学
先日、「東大卒者が社会人になってから東大大学院に学費を払ってまで行く意味はない!」という趣旨の記事(※1)を書きましたが、東大を例に、私が思う「ここが変だよ、大学院!」論を書いてみたいと思います。
【学部よりレベルの低い大学院という問題】
最近、大学院修士課程の学力水準が学部後期課程の学力水準を下回る現象が起きていることが指摘されています(※2)。
立花氏によると、東大にもそのような研究科があるそうです(※3)。
ちなみに、私が何人かの友人に聞いた感じだと、少なくとも公共政策、情報環境・学際情報学府(学環)、新領域創成科学研究科はそういう感じのようです。
すでに、多くの方が指摘をしていますが、
学部よりレベルの低い大学院っておかしいですよね??
そんな環境には、知的刺激もあったものではありません。
さて、それなりに学力のある高校生が高校の補習授業を行っている大学を受験するかと言えば、答えは「NO!」です。
同じ理由で、学部よりレベルの低い修士課程を受ける(あるいは、博士課程まで進学する)東大生は多くはないと考えられます。
さらには、すでに仕事を持っている社会人東大卒者にはますます進学する意味がなくなります。
その結果…
という、負のスパイラルが生じていると推測されます。
【全般的知識が問われない大学院入試という問題】
大学院がこのような状況になってしまった原因の一つに、入試が機能していないことがあると思います。
友人に聞いた話によると、大学院の入試には、学部を受ける際には必須だったセンター試験のような知識全般が問われる試験は一切ないそうです。
英語が普通にできて、専門がそれなりにできれば簡単にクリアできるそうです。
(ロースクールは、法科大学院全国統一適性試験を受験する必要があるそうです)
公務員試験や民間企業の就活の際に使われるSPIには一般教養を問う試験があるのに、学問を志す人が受験をする大学院入試で全般的な知識が一切問われないのは、何か変な気がしませんか?
教育再生実行会議の第四次提言で、「知識偏重の1点刻みの大学入試」と今の学部入試のあり方が批判されていますが(※4)、東大は大学院だけ脱知識偏重を先取りしていたということでしょうか?
それとも、専門分野を学ぶのに幅広い知識は不要という理解なのでしょうか…?
そんなことはないはずです!
昨今の大学院の状況を鑑みるに、大学院入試にも知識全般を問う試験を導入するべきだと思います。
例えば、全学の入試に公務員試験の教養試験のような知識全般を問う試験を導入し、足切りラインを最低限、修士の学力水準が学部のそれ以下にならないようにするなど、やりようはいくらでもあると思います。
そうしたら、今よりはマシな状況になるのではないでしょうか。
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東京大学はもともと学費もそれほど高くなく、学生からの学費収入に依存する私立大学とは違うので、定員に達しなくても、受験生のレベルが低ければ不合格にするくらいのことをしてもいいと、個人的には思います。
博士の質が問われる今だからこそ、知識偏重だと批判をされたとしても、外形的な「最低限の質の担保」をすべきだと思います。
入試の時点で学部より高い学力水準が求められる東大大学院は、きっと、学部以上のことが学べて、しかも学ぶことに厳しい環境になると想像されます。
そんな大学院だったら、私も行ってみたいな…
でも、どうせ変わらないだろうからな…
やっぱり、大学院に行くなら、英語を勉強してオックスフォードに行ってみたいです。(※5)
ところで、今回、記事を書くに際して参考にさせていただ「大学とは何か」の著者・吉見先生(※2)ですが、東大生の間では「ロンダ学部」と言われている学環の先生でした。
このような大学院の現状についての本音を是非伺ってみたいです。
※1東大卒者にとって東京大学大学院は行くに値しない!? - 東京大学を卒業しましたが、
※2「大学とは何か」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※3「ぼくらの頭脳の鍛え方」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、
※4教育再生実行会議第4次提言(本文) P1参照
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/dai4_1.pdf
※5「イギリスの大学・ニッポンの大学」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、