東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

詰め込み教育の何が悪い?~詰め込み教育だって、役に立ちます!

詰め込み教育って何でダメなんですか?


詰め込み教育と言えば、とかく批判の対象になりがちですが、詰め込み教育で育ち、それが大好きな私には理解ができません。
なので、詰め込み教育の魅力について語ってみたいと思います。


とりあえず、今回は「社会」を念頭に話を進めたいと思います。

 


【効率よく知識を吸収できる】

詰め込み教育の一番の魅力は、何と言っても多くの知識を効率よく身につけられることです。


大人になって思うのですが、高校までに、それなりに苦労をしてそれなりの量の知識を身につけてきたはずなのに、それは、「市民」として世の中を理解するためには十分な知識量ではありません。
つまり、高校までに習った知識は、「ベース」でしかありません。
でも、体系的であるが故に役に立ちます。

 


【例題:高校までの知識はベース】

詰め込み教育で学んだ知識など大して役に立たない」という批判への反論も含め、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書を受けての安倍首相の記者会見での発言(※1)を例に上述の具体化を図ります。

 

「切れ目のない対応を可能とする国内法整備の作業を進めるに当たり、従来の憲法解釈のままで必要な立法が可能なのか、それとも一部の立法に当たって憲法解釈を変更せざるを得ないとすれば、いかなる憲法解釈が可能なのか。」

 

この発言について、疑問を感じましたか?
私はものすごい違和感を持ちました。

上記については高校までに習っているはずのものです。
このキーワードと明治維新以降の日本国内の大まかな流れ及び世界情勢(列強による植民化)を考えれば(*)、正確な知識は忘れていようとも、

 現憲法の改正が難しいのは、国家の暴走に対する抑制機能を果たすため
 →憲法を「解釈」によってその意味を変えてしまっていいのか

という疑問にたどりつきます。
*体系的に学習したからこそできることです!

 

【例題:高校までの知識では不十分】

憲法解釈」という言葉には考えるべき内容がたくさん含まれていることに気づくことが、高校までの知識をもとになすべきことです。
しかし、私たち大人は、そこから一歩踏み込む必要があります。


そこで、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書(概要)(※2)を見てみると、P2にあるように、「憲法解釈」は一貫しておらず、時代によって変化していることがわかります。


ここから「市民」として何を考え、どう判断しますか?



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このように、詰め込み教育で得た知識も使おうと思えば使えます。


確かに忘れてしまう知識もありますが、最低限の考えるためのベースになります。
それをどう活かすかは、個人の力量です。
(私もまだまだです。。)

加えて、その知識を軸に私たちは、「大人」としてきちんと考え・判断するための視点なり考える力を身につけていく必要があります。

 

昨今推奨されている、調べ学習などの非詰め込み型教育は、時間的に、詰め込み教育でも十分とは言えない知識量ですら扱えず、かつ体系的に知識を教授できません。


また、「考えること」は自分が知っている知識に依拠する部分が大きいことは、多くの方に共感していただけると思います。
実際、心理学研究のレビューによると、問題を発見し、自ら解決する力は、それまでに得た知識に依存するそうです。(※3)


すべての教育を詰め込み教育にするべきだとは思いませんが、高校までの詰め込み教育は、もう少し見直されてもいいのではないかと思います。

 

 

 

※1平成26年5月15日 安倍内閣総理大臣記者会見 | 平成26年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ

※2安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会

※3「教育改革の幻想」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

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