東京大学を卒業しましたが、

東京大学を卒業したけれど、「何者」にもなれず社会の中に埋もれきったアラサー女子の、現状への反省も込めた徒然記です。

「AIの衝撃」を読みました。-AIに関する世界的競争と日本と情報のコントロール。

 

【評価】
まぁまぁ良い。

 

【関心】
先日、『人工知能は人間を超えるか』(※1)を読み、(言い過ぎだとは思いますが)人工知能についてそれなりにわかったつもりでいます。
しかし、一方で、人工知能についてまだまだ「素人だ」という感覚もあります。
そのため、もう1~2冊、人工知能に関する本を読みたいと思いました。

人工知能の本について何となくネットで検索をしたところ、本書のタイトルに目がとまりました。
読書メーターで本書を見たところ、登録数が4ケタと非常に多かったので読んでみることにしました。

 

【感想】
本書は、AIに関する技術的な話というよりはグーグルやアマゾンなど世界的IT企業がAIを用いて何を目論んでいるのかといった、「AIが社会・産業に与える影響」が主な内容だったと理解しています。
人工知能は人間を超えるのか』(※1)など、人口知能の技術的な話を読んだ後に読むとよりおもしろく感じられる内容だと思います。
人工知能の技術に関する内容は薄かったように感じました)


どのような技術にせよ、新しい技術が開発されることはそれ自体すごいことだと思います。
しかし、例えばある技術が新規に開発されてもそれが一つの会社のなかだけで使われているのであれば、その技術の持つ社会的インパクトはほとんどないことになります。
「新しい技術」はそれが実用化・産業化され、人々の生活に入り込んだときに大きなインパクトをもつものだと思います。


そうすると、グーグルが「製品の製造から配送までサプライチェーン全域を、AIロボットで制覇する目論見」を持っているという本書で指摘されている報道が正しいとすると…

専門知識を持たない私の直感でしかありませんが、上述のようなグーグルの目論見は「そのうち実現するんだろうな」と思えます。

では、仮に実現した場合、日本の産業や雇用はどのように変わるのでしょうか。


かつて手作業で行われていた作業が機械に代替されたように、現在「人」が行っている仕事が人工知能に代替されることは悪いことだとは思いません。
しかし、日本人が行っていた「仕事」の大半が「グーグル製の次世代ロボット」に取って代わられるとしたら、それは日本において(特に雇用上の)大きな問題につながることが推測されます。

日本は今のままで大丈夫なのでしょうか…
よくわかっていないながらも、本書を読んでいると何だか心配になってきます。

といっても、この分野に対して、私が貢献できることは何もありません。
そんな自分の存在がとても情けなくあると同時に、自分がこのようなことが言える立場にないことは重々承知していますが、「何だか残念な気持ち」になってきます…


少し話は変わりますが。
グーグルをはじめとした世界的IT企業の目論見はスケールが大きくて「すごいな」と思いました。
一方、「すごいな」と感心するだけで何事に対してもスケールの大きなビジョンを描けない自分の存在は、上手く説明できませんが、「遅れている」とか「後塵を拝している」とか「いまいち」といったネガティブな言葉で形容される存在なのだと思わざるをえず、真面目に悲しくなりました。

本書を読みながら、結局、私は「匿名の個人」としてひっそりと生きていくしかないことを改めて実感しました…
別に嫌ではないけれど…
でも、ちょっと悲しく思ってしまう自分のおこがましさを反省です。


さて、話はもとに戻して。
世界的IT企業の目論見を聞けば聞くほど、「無料」という言葉につられてインストールしたアプリなどからほとんど自覚のないまま、(表現が適切なのかわかりませんが)「データを提供している」ということが無性に気持ち悪く思えてきました。

アプリではありませんが、携帯電話の位置情報をオンにしておくだけで、グーグルで検索した時に表示される「平均滞在時間」の計算に使われているのだろうと思うと…

うーん…

一人一人が適切なデータを提供しなければ便利かつ有用な情報が頒布されないこと、そして、提供する情報が匿名のビッグデータとして扱われていることを理解はしていますが、それでも私はどうしても気持ち悪く感じてしまいます。
「テータを提供させられている」と感じてしまいます。
私はビッグデータが価値を持つ社会にいまいち適応できていません。
でも、それをわかった上で、適応したくないと思ってしまいます…

「これからの情報社会の在り方は多様な問題を含んでいる」という社会的な合意があると信じたいです…
改正個人情報保護法も気になります…


それにしても。
本書を読んだ影響だとは思いますが、人手不足問題が話題となっている日本の運送業ですが、値上げの話だけをしていていいのでしょうか。
外国では、類似の問題に対してもっとAIなどの技術を使った議論がなされたりしていないのでしょうか??


本書は、世界的IT企業の目論見をはじめとしたAIが社会・産業に与える影響についてわかりやすく書かれていて、また、AIに関する理解が深まる良い本だと思います。

 

 

 

※1「人工知能は人間を超えるか」を読みました。 - 東京大学を卒業しましたが、

 

 

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)